歯科外来

2016年12月28日水曜日

むし歯のなり易さを調べよう!~むし歯リスク検査について~  広島大学病院矯正歯科

むしリスクって知っていますか?

世の中には歯磨きを一生懸命しているのにむし歯になりやすい人、歯磨きをあまりしていなくてもむし歯にあまりならない人がいます。

その違いは何でしょうか?



むし歯(カリエス)は歯、口腔内の細菌、唾液の量や性質、食事内容などが複雑に絡み合って発生します。
つまり、むし歯になりやすいかどうかは、人によって違うのです。


さらにその人口の中の環境によって大きく左右されます。
むし歯になりやすいかどうかを調べる検査をむし歯リスク検査(カリエスリスク検査)といいます。

「むし歯リスク検査」
検査方法は、味のないガムを5分間かみ、出てきた唾液を集めるだけです。


当院のむし歯リスク検査では以下の5項目を調べることができます。
唾液の流出量:一定時間に分泌される唾液の量。量が少ないと要注意です。

唾液のH(酸性度):むし歯が発生しやすい環境かどうかを知ることができます。

唾液の緩衝能:飲食後、唾液が口の中の状態をもとに戻す能力を知ることができます。

ミュータンス菌の数:ミュータンス菌はむし歯の原因菌と言われています。砂糖を分解して粘着性のある物質を合成し、歯の表面に細菌の巣を作り、また酸も作って歯を溶かします。その菌数の測定によりむし歯になりやすさを判定します。

ラクトバチラス菌の数:ラクトバチラス菌はむし歯や詰め物の隙間に潜んでいて、むし歯の進行に関係します。




下の図と表はカリエスリスクの低い人の結果です。

左の写真はミュータンス菌とラクトバチラス菌をそれぞれ選択的に3日間育てた写真ですが、ほとんど菌が観察されません。

右は検査センターからの結果です。唾液の量、性質ともにむし歯リスクの低い状態でした。





次にカリエスリスクの高い人の結果です。
唾液の性質はそれほど悪くないのですが、唾液の量や、今現在の口の中のむし歯菌の量が多く、むし歯になりやすい状態と診断されました。
左上の写真では、ミュータンス菌、ラクトバチラス菌ともに、コロニー(細菌の塊)が多数観察されていることがわかります。

矯正歯科治療中は、お口の中の装置によって、歯磨きが難しくなりむし歯が出来るリスクが高くなります。

広島大学矯正歯科では矯正歯科治療を受ける患者さんに対してむし歯リスク検査を行うとともに、衛生士さんの歯磨き指導を随時行っています。

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2016年10月18日火曜日

子供の出っ歯さん(上顎前突)の治療例

前回からの続きです。
出っ歯(上顎前突)の実際の治療を1例紹介します。

前回分析した患者さんです。横から見たときに上の前歯が突出していますね。

上下の前歯の距離は2~3mmが適正。5mmを超えてくると上顎前突が疑われます。



一見、上の前歯が突出しているように見えますが、横顔のレントゲン写真の分析より、下の前歯(下の顎自体)が後退していることが分かります。
  

よって、治療方針は「下顎を前へ成長させる」ということになります。使用する装置はFKOというものになります。夜寝るときに上下の歯で咬んで使用します。




初診時(左)には上下の前歯の距離が大きいのですが、装置装着1年(右)で距離がだいぶ縮まりました。




(治療例:①主訴:出っ歯②診断名:上顎前突③年齢:9歳④用いた装置:FKO⑤抜歯部位:無し⑥治療期間:3年⑦治療費1期治療として40万程度⑧リスク副作用:特になし、装置の不快感)
出っ歯(上顎前突)の患者さんは、口が閉めにくいことが多いです。無理に閉めようとすると、下顎にうめぼしのようなしわが出来るのが特徴です。お子様をよく観察してみてください。



今回は出っ歯(上顎前突)の治療について少しご紹介しました。
出っ歯にも様々なパターンがあります。他のものについては少しずつ紹介していきます。

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2016年9月5日月曜日

出っ歯にも様々な種類があるよ

今回は出っ歯(上顎前突)にも様々なパターンがあることを説明します。



まず初めに、少し専門的にはなりますが、歯科矯正の診断で非常に大切な横顔のレントゲン(側面頭部X線規格写真、セファログラム)について説明します。図1がそのレントゲンです。このレントゲン写真を分析ソフトで検討を行います。






その後上顎骨と下顎骨の大きさや前後的位置、前歯の傾斜などを標準値と比較します(図2)。の歯が埋まっている骨が上顎骨、下の歯が埋まっているのが下顎骨と、別々の骨から成り立っています。ここでは上顎骨をで下顎骨をで示しています。




ここで本題にもどります。

上顎前突(出っ歯)には大まかに分けて3パターンあります。
①:骨に問題を認める場合
②:歯に問題を認める場合
③:1と2両方に問題を認める場合です。




このように、「出っ歯」と一言でいっても様々な組み合わせがあることがお分かりになったと思います。つまり、「どんな人も出っ歯にはこの装置!この治療!」というのはおかしいですよね。

全ての治療は検査結果をもとに分析を行い、しっかりとした根拠に基づいて患者さんごとに計画されるべきなのです。


次回は実際の上顎前突の治療を紹介します。

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2016年8月19日金曜日

出っ歯ってどんな状態?

歯って何??

前回に引き続き、出歯 (上顎前突) についてお話させていただきます。


の口元の写真見て、どちらが出歯か分かる方は少ないのではないでしょうか。





では横からの口元の写真はどうでしょうか。これでも分かりにくいかもしれません。


左側の写真の口元が突出しているのが分かりましたか?
これは上顎前突の患者さんの治療前後の写真です




下の写真のように赤い線でE-lineEsthetic line:鼻の頭と顎を結んだライン上に唇の先端が重なる)を引いてみると口元が突出していることが分かります。





  治療前(出っ歯)   治療後


みなさんは一般的にきれいな歯並び=ガタガタがないことと思いがちではないいでしょうか。同じ不正咬合でも、受け口 (下顎前突) は、通常と前歯のかみ合わせが逆で下の前歯が前方に見えるので、ご家族も気づきやすいと思います

一方、上顎前突症どこまで突出していたら治療すべきなのか、また何歳から治療開始すべきなのか疑問に思われることも多いと思います。

そこで次回から実際の治療例をもとに上顎前突症の治療についてお話をしていきたいと思います。

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2016年7月29日金曜日

出っ歯は治したほうが良い?


「出っ歯」:矯正歯科の専門用語としては上顎前突と呼ばれます。


上の前歯が前方に飛び出している状態です。歯のでこぼこは少ないので、患者さんや親御さんが不正だと気づかないことも多いです。一般的に正常な上下の前歯の距離は2~4mmが標準と言われており、それ以上になると上顎前突と考えてほぼ間違いないでしょう。

上顎前突に伴う問題は主に以下の様なものがあります。


1:口が閉じにくい
上の前歯が常に唇からはみ出している状態は決して見栄えが良いとは言えませんし、また口が閉じにくいことから口呼吸を併発することもあります。口呼吸は鼻呼吸と比べて口腔乾燥を引き起こしやすく、それにより歯肉炎や歯周炎のリスクが高くなることが知られています。また、口臭がひどくなることもありますし、風邪を引きやすくなるとも言われています(口呼吸による問題については別の機会に説明します)。

2:前歯で食べ物を噛み切るのが難しい
 前歯で麺類など上手に噛み切れません。そのため変な食べ方の癖がついている場合も。

3:上の前歯を怪我することが多い
上顎前突の方は前歯が突出しているため、前歯の怪我をすることが多いと、すでに多くの論文でも報告され証明されています。具体的には、転倒や、スポーツなどによります。


前歯が少し出ているかな?口が閉めづらいのかな?と気になったら矯正歯科へご相談ください。

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2016年6月24日金曜日

矯正歯科用語集 その2


前回は矯正歯科治療に出てくる専門用語についての解説をしました。

矯正歯科治療が必要となる歯並びを総称して、不正咬合といいます。
今回は、引き続き不正咬合の種類についての解説を行います。

空隙歯列(くうげきしれつ):空隙歯列とは名前の通り、歯と歯の間にすきまがある歯並びのことをいいます。前回解説した叢生(そうせい)とは対となる不正咬合です。歯が小さい場合や、舌の癖によって起こる場合があります。
なお、乳歯列(こどもの歯)の時には、空隙歯列であるほうが望ましいと言われています。






過蓋咬合(かがいこうごう):かみ合わせが深く、上の前歯が下の前歯をすべて覆ってしまっているような歯並びです。開咬と対となる不正咬合です。下顎の成長が深いかみ合わせによって阻害されると考えられています。




交叉咬合(こうさこうごう):1本または数本の歯において、下の歯が上の歯よりも外側にある歯並びのことをいいます。歯の位置がずれて生えてきた場合や、上顎と下顎の位置がずれている場合に起こる場合があります。
幼少期に交叉咬合があることにより、顎が曲がって成長してしまう恐れがあるため、出来るだけ早い治療をお勧めします。





このように歯並びは人によって多くの種類があります。矯正歯科治療ではこれらの不正咬合の原因を分析し、診断を行った上で治療を開始します。


ご自身やご家族の歯並びに興味を持ってもらい、もし気になることがありましたら矯正初診ダイヤル082-257-1755までお気軽にご連絡ください。


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2016年5月23日月曜日

不正咬合とは


矯正歯科用語集
【不正咬合とは】 

歯並びは治したいけど、自分の歯並びは何が問題なのか分からないという声をよく耳にします。

また、矯正歯科治療では、治療対象となる歯並びにはいくつかの種類があり、担当医は患者さんごとに最も適切な治療方針を立案しますが、普段聞き慣れない専門用語も多くあります。


そこで今回は矯正歯科治療によく出てくる言葉を解説し、みなさんに矯正歯科治療について知って頂き、また治療中の患者さんには自分の治療をより深く理解して頂く機会になればと思います。

不正咬合(ふせいこうごう)顎、顔面、歯などが、なんらかの原因で形態や発育や機能に異常をきたし、その結果として正常な咬合機能を営み得ない咬合状態の総称です。つまり、矯正歯科治療を必要とする歯並びを総称して不正咬合と呼びます。


叢生(そうせい):歯が交互に頬側(外側)、舌側(内側)に部分的に重なってしまう状態の不正咬合です。歯の大きさと顎の大きさの不調和によって起きるこの不正咬合は日本人ではきわめて多いのも特徴の一つです。





開咬(かいこう):上あるいは下の歯、もしくはその両方が数歯にわたって咬んでいない状態の不正咬合をいいます。






上顎前突(じょうがくぜんとつ):上顎の前歯が下顎の前歯より著しく前方に突出した状
態の不正咬合の総称です。一般的には出っ歯さんと言われる状態です。






下顎前突(かがくぜんとつ):上顎前突とは逆に、下顎前歯の方が上顎前歯より前方にある状態(逆被蓋といいます)の不正咬合の総称です。一般的には受け口とも言われる状態です。また、欧米人に比べて日本人に多い不正咬合と言われています。




自分自身またはご家族の方にこのような歯並びの方がおられましたら、ご相談ください。



出典:歯科矯正学辞典, クインテッセンス出版株式会社

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